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2 そめや歯科医院 院長 染谷 道雄

今回は上手な歯の磨き方の説明です

実際にどうやって磨いたらいいのか、具体的な方法を説明します。
1本ずつの立て磨き
ほぼ円柱形をしている1本の歯、これを6面体と考えて表側の正面と左右、裏側の正面と左右の6つの方向から1本ずつ丁寧に磨いていく方法です。歯並びの悪い人に特にお勧めです。
バス法
やわらかい毛先の歯ブラシを使用し、プラークのつきやすい歯と歯ぐきの境目、ポケット内の清掃を重点的に行います。歯ブラシを図のように45度の角度で当てて毛先をポケットの中に入らせ、細かく細かく振動を与えるように磨きます。辺縁歯グキのマッサージを行うもので、歯周病の治療や予防に効果的なブラッシング方法です。
スクラッビング法

歯と歯ぐきの境目の磨き方に効果的なブラッシング方法です。歯ブラシの毛先を歯の面に垂直に当てて、6〜9ミリ幅で小刻みに動かします。大きく動かしすぎて横磨きにならないように注意します。毛先を強めに押し当てて、小刻みな振動を与えると、毛先が歯と歯の隙間まで十分に行き届きます。
歯と歯の間の歯肉は歯肉炎にもっともかかりやすい部分なので、このブラッシング法を使いこなせるようになれば、歯周病の予防と治療に効果的です。

歯を磨くために気をつけたいこと:Check! 磨き残した場所がないように、また、きれいに汚れを落とすために次のポイントに注意します。
 
  • 歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの間にあてて、歯ぐきをいためないようにやわらかく磨きます。
  • 歯ブラシは毛先を意識して、小刻みに動かし、1〜2本ずつ丁寧に磨きます。1回あたりの目安として約10分磨きましょう。
  • ブラッシングの順番を決め、いつも決まった場所から1つの歯も残さないように、丁寧にみがきます。
  • 力をいれずに、軽く1ヶ所当たり20〜30回磨きます。
  • 力を入れないでも毛先が歯の面に平均して当たり、歯と歯の間にも毛先が入り込むように磨きます。
  • 1本ずつ(1本1本)歯ブラシを当てる角度や動かし方などを工夫します。
  • 鏡を見ながら歯ブラシを当てる場所を意識して磨きます。
  • 時には市販の歯垢染め出し剤(カラーテスター)で磨き残した場所を確認しましょう。
歯ぐきに腫れや出血がある人は、毛先がやわらかめの歯ブラシで、歯と歯ぐきの境目を意識してみがきます。上下の前歯は、磨き忘れてしまうことが多いので気をつけましょう。
歯みがきは何分くらいすれば良いのでしょうか? 10分以上が良いでしょう。歯磨きはテレビをみながらでも、お風呂でゆっくり湯船につかりながらでも、時間をかけて磨きたいですね。
歯磨き剤はつけた方がいいのですか? 歯磨き剤をつけた方が、つけない場合に比べプラーク(歯垢)を取る効果があがるのは実験結果から明らかになっています。しかし、歯磨き剤をつけると泡がでて、長い時間磨いていることが難しくなります。そこで最初は歯磨き剤をつけずに磨き、仕上げに歯磨き剤を使って磨くと良いでしょう。なお、歯磨き剤はフッ素入りのものを選ぶことをお勧めします。

プラークのとりにくいところ

一般的に次の箇所は歯垢が残りやすいところです。

特に注意して念入りに磨くことが必要です。

歯と歯の間。隣接部とその近く 歯と歯ぐきの境目
奥歯の咬み合わせの面の溝 下あご前歯の裏側

プラーク(歯垢)と歯石の違い
歯の表面の沈着物を取り除かないでおくと、2〜3時間内に厚い糊みたいな粘着性の層が堆積してきますが、これを臨床的にプラークと言います。

このプラークは洗口やジェット流の洗浄では取り除くことができません。歯石とは、このプラークが石灰化して硬くこびりついたものなのです。文字通り歯に石のようにこびりついたかたまりです。この歯石は歯ブラシを使って自分でとることが出来なくなります。

そこで、軟らかいプラークのうちにしっかりと歯ブラシで落とすことが重要になってくるのです。